武藤正義(即興コンポーザーピアニスト/ストリートピアノ主催/大学教員)

神奈川県逗子市出身。4歳より14歳までピアノを学ぶ。その後は独学を続け、20歳頃からピアノ曲の作曲活動を開始するも、23歳頃、学業に専念するため音楽活動を中断。2003年より秀明大学非常勤講師、成蹊大学文学部非常勤講師、青山学院大学経済学部非常勤講師、学術振興会特別研究員を歴任し、2009年より芝浦工業大学システム理工学部専任教員に着任。同年より東京都北区に居住し、同大学大宮キャンパスにSocial Interaction Systems Lab. を開設。2011年より10年以上のブランクがあったピアノと作曲を再開。2012年よりカラオケ感覚のピアノパーティ企画をピアノ仲間と立ち上げ。2017年より自作曲および即興演奏によるピアノライブ活動を開始。オリジナリティと演奏の両面で好評を博す。2019年春より各地のストリートピアノ巡りをはじめ、二日間限定のイベントとして6月に赤羽ストリートピアノ、東大宮ストリートピアノを主催し、大きな反響を得る。TOKYO MX からストリートピアノ主催としてインタビューを受け、8月23日にオンエア。直近では10月に岩淵パブリックピアノを主催。また、準常設の浦和美園ストリートピアノ、与野イオンモール・ストリートピアノにも協力。2008年、東京工業大学にて博士号(学術)を取得。専門は数理社会学、理論社会学、ゲーム理論、社会調査、ソーシャル・ムーブメント、まちづくり。趣味は飲食店巡りとコミュニティづくり。自分の武器を生かしつつ新しいことをしていくのが信条。
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2021年9月7日渋谷クロスFM『音楽マンションプレゼンツ Life with Music』出演映像アーカイブ

音楽を始めたきっかけ

4歳ころから両親の意向でピアノを習いはじめました。父は学者肌でしたが、幼少期には「勉強よりもピアノ」という教育方針でした。父は予備校講師、母は助産師でして、父がよく家にいて母が一方的に忙しいという変わった家庭でした。これが一因で社会学を専攻することになったのかもしれません。

中学生の頃は、父のしつけが厳しくTVゲーム厳禁だったので、友達の家や隣に住んでいた伯母さんの家でロールプレイングゲーム(RPG)をよくやっていました。そういったゲームのBGMを自然に覚え、左手の伴奏をピアノで適当につけるなどして「耳コピ」していました。おそらくその経験が今の作曲活動の原点になっています。

高校三年生の文化祭で、3年間同じクラスだったこともあり、ミュージカルSound of Musicをクラスで公演したのですが、そのときには “Climb Every Mountain” のピアノ伴奏を担当しました。また美術部だったこともあり、舞台背景の美術監督もしました。

大学進学にあたっては、音楽や芸術の世界は厳しいから「本業とは別で」と思っていました。中高のころから物理、数学、世界史に興味があったのですが、一浪して東京工業大学に入学し、実験がなく音楽や読書の時間がとれる数学科を選びました。しかし現役で入ってきた「一個下」の同級生たちが非常に優秀だったのがカルチャーショックでした。特に数学にしか興味がない人には勝てないので、自分の「ウリ」を音楽や社会学(哲学・文学・歴史等含む人文社会系)にしました。大学入学してすぐの頃、高校の親友に呼ばれ、キーボードとしてバンドに参加し、作曲活動を開始しました。バンド活動は1年もたたずに終わりましたが、個人での作曲活動は、大学院に行く前までぼちぼちと続けました。

学部4年生のときにシンクタンクでアルバイトをしたら、かなり過酷な業種であることがわかった一方、その仕事でインタビューに来ていた大学の先生の方が楽しそうだと思い、本気で目指すことにしました。そこで大学院に進学し、今、勤務している芝浦工業大学に就職が決まるまでの10年間、音楽活動は自制していました。

もっとも20代から30代前半までに、幼少期からのClassic音楽に加え、Jazzを聴き始め、さらにHouse, Techno等クラブミュージック、インディーズなどのアンダーグランドな音楽にかなりハマりました。こういったいろいろなジャンルの音楽を聴いてきた経験を生かしたくもあり、今の大学に着任後、作曲や即興演奏を再開しました。現在も、◩square_azという名義でライブ、ストリートピアノ、YouTubeなどの音楽シーンで活動しています。

学業のほうでは、東工大数学科を出て、社会学を目指していたわけですが、いきなり理系から文系に専門を変えると武器がなかったので、修士課程で経済学の数理的な基礎になっているゲーム理論を専攻しました。指導教官は私と同じ名前ですが、この分野の第一人者の武藤滋夫先生です。博士課程では紫綬褒章も受賞された社会学者の今田高俊先生に師事しました。修士論文と博士論文は人文社会の素養を生かし「利他性」をテーマにしました。

理論研究ばかりだったので、テーマに関連する形で、30歳頃から夏に楽しみながら海岸の清掃活動などを行う環境NPOにボランティア参加しました。場所は地元の逗子海岸です。現在その縁もあって、北区や赤羽のまちづくりボランティアとして、研究室をあげて学生と一緒に、岩淵町で開催されている「宿場町まるしぇ」の運営や出店を手伝っています。

またこのマルシェのご縁で、誰でも弾けるストリートピアノを6月はじめの土日に赤羽の商店街LaLaガーデンにて開催させていただきました。北区はもとより、都内城北エリアでは初めてだったのではないかと思います。また、学生たちと一緒にその一週間後の土日に勤務先の東大宮にある「ハレノテラス」というショッピングモールでもストリートピアノを主催させていただきました。直近では、10月12日に赤羽岩淵の正光寺、12月中旬に再び、LaLaガーデンにてストリートピアノを主催予定です。

今の大学に着任してから通っているBeeピアノ教室の仲間とピアノパーティを立ち上げ、もう7年くらい主催しているのですが、ストリートピアノはそれを発展させ屋外の公開イベントにしたものと位置づけています。音楽を通じた人と人の繋がりが、開かれた形で演出できることに大きな意義を感じています。

これからやりたいこと

Street Piano YouTuberの中には、音大は出ていなくても、素晴らしいアーティストが沢山います。大学の仕事もしつつ、自作曲や即興演奏を披露できるライブなどにも出演しながら、ストリートピアノを活かして若いアーティストたちを応援していきたいです。

音楽家をめざす方へのメッセージ

Beeで知り合ったピアノ弾き語りのcazさんという方のご縁でライブに出演するようになり、そこでライブ仲間ができました。音楽以外に本業が別にあるのですが、みなプロ顔負けの「兼業アーティスト」です。音楽だけで食べていくのは厳しいし、自分が好きなように音楽に取り組める、兼業アーティストという選択も検討に値する生き方かと思います。

(2019年10月取材)

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