愛知とし子(ピアニスト)

aichi1第2回 愛知とし子(ピアニスト)

岐阜県出身。愛知県立芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業。ロータリー財団の奨学生として渡欧。ウィーン市立音楽大学入学。ミハイル・グリンカ音楽院 (ロシア)にオーストリア奨学生として短期留学。上州オーストリア州立ブルックナー音楽院卒業ディプロム取得。「ラ・ミューゼ」 第7回国際ピアノコンクールデュオ部門で1,2位無しの3位入賞。「T.I.M」第6回国際音楽コンクールでデュオ及びソロにてディプロム取得。第9回 国際ピアノコンクール「ローマ1998」ファイナリストディプロムを受ける。その他、国内外で入賞多数。日本、およびヨーロッパ各地、現在ではインドネシアなどアジア圏でも演奏活動の場を広げている。2015年より、ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会をスタートさせる。
企画から携わり、幅広いテーマ(歴史、絵画、文学など)に基づいた演奏会や、様々な分野とのコラボレーションコンサートは高い評価を得、演奏家としてだけではなく、その独特なアイディアやプロデュース能力も好評を博している。最近では、年齢ボーダレスな演奏活動が話題を呼び、赤ちゃんから高齢者まで幅広い人気を持つ。特に、親子で参加出来るコンサートにも力を入れており、0歳児から参加出来る“赤ちゃんと寄り添って聴く「音浴じかん」”は、好評で日本各地で開催している。小学校・中学校などの訪問コンサート・特別授業・講演活動も行う。
オフィシャルサイト http://aichitoshiko.com

2021年7月20日渋谷クロスFM『音楽マンションプレゼンツ Life with Music』出演映像アーカイブ

(1)なぜ、音楽家になられたのか?
私の母は、ピアノ講師でした。母の夢は、娘がピアノを弾き、息子がヴァイオリンを弾く姿をみることだったので、小さい頃よりピアノの手ほどきを受けることになりました。母の夢は叶いましたが、私は器用では無かったので、「ピアノ一つも出来なくては何もできないだろう」と思いコツコツと練習を続けていました。気づくと、音楽高校に入り、音楽の道へ進んでいました。以前から、「音楽」に憧れの感情を抱いていましたし、日々の生活の中で、凄く嫌なことや辛いことがあっても、音楽はいつも自分の味方をして私の心を助けてくれました。「何が起きても音楽は自分に寄り添ってくれる」という感覚を今でも持っていて、本当に音楽に魅了されていて、今では音楽のない生活は考えられません。

私の実家はとても田舎で親が厳しかったため、外泊や一人暮らしは出来ませんでした。ですから、自宅から通える大学に行くことになりました。その後、ロータリー財団の奨学生として海外に渡り、世界で活躍されている方を身近で感じることができ、自分も益々頑張ることができました。海外の生活はとても充実していましたが、30歳を過ぎたころ「今、日本へ帰らなければ、日本で生活が出来なくなる」と思い帰国しました。

(2)音浴じかんとおんよ君について
小さなお子様がいる音楽が好きな方と知りあうことがあり、「赤ちゃんとママのための、コンサートを家で開いてくれないでしょうか?」と相談を受けたのがきっかけで、彼女のお宅で赤ちゃんコンサートを開くことになりました。そこに来てくださった方がとても気に入ってくださり、次は、その方が、自宅コンサートを企画されて開催することになりました。
それが、どんどん口コミで広まり何度もやっているうちに、もっと広い場所で、もっと良い環境でやりたくなり、自分で企画し赤ちゃんコンサートを開催するようになりました。aichi4

音浴じかんの間、子どもにじっとしているように促すことはありません。子どもを無理に強制するとかえって大騒ぎになりかねませんからね・・・。一緒に楽器を鳴らしたり、身体を動かすことをしながら、五感をフルに使って音楽になじんでもらいます。
「泣かないかしら?」と心配する方も多いのですが、お母さんもリラックスできると、赤ちゃんも自然とリラックスするんですよ。
私自身、音浴じかんは小さなお子様向けのコンサートなので、可愛いイメージキャラクターがほしいと以前から思っていましたし、小さいお子さまに、コンサートにいこう!と言ってもなかなか行かないけど、キャラクターの「○○○」に会いに行こう!というと喜んで行くよ。と、アドバイスをいただいたこともあり、多くの子どもたちにも愛されるキャラクターを日本全国から一般公募をし、着ぐるみが誕生しました。
「おんよくん」と触れ合うことでどんどん「音浴じかん」が広がっていけば嬉しいです。

(3)今後の活動の予定
現在の演奏活動は、「ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会」の他、インドネシアにいる孤児のためのチャリティーコンサートにも力を入れています。ジャカルタでコンサートを開催し、インドネシアのクラシックのファンを広げるとともに、収益金で地域の孤児院への寄付をする活動もしています。

そして、もちろん「音浴じかん」もどんどん広げていきたいと考えています。音楽家がコンサート活動を続けていくということは、とても有名でない限り、集客が難しいのが現状ですが、赤ちゃん向けのコンサートは、大変な部分もありますがニーズがあるのも特徴で、音浴じかんも、告知すると集まりやすいため、これからは、たくさんの演奏家の方の活躍の場の1つとしても広げていけたら・・・と思っています。これからも、代官山を拠点として、定期的に「音浴じかん」をやっていく予定です。

(4)音楽家を目指すみなさまへのアドバイス
日本では、生の演奏、特にクラシックを聴く文化が一部の人に限られてとても少ないのが現実です。それは、小さい頃からコンサートに通うという環境がほとんどなく、なじんでいないことも1つの原因だと考えられます。生の演奏を聴く文化・環境を作っていけば、自然にその土壌が広がり、音楽家の活躍できる可能性も広がっていきます。その為にも、子どもの頃からコンサートに気軽に出かけられる習慣が身につけられる方法の1つとして「音浴じかん」を続けています。aichi2

音楽事務所に入ることも1つの手段ですが、これからの時代は、誰かに自分を売ってもらうことを考えるよりも、自分で自分のやりたいこと・得意なものなどを見極めて、独自の世界、自分にしかないオリジナリティのある活動の形を作っていくことも必要だと思います。
音楽家だけで食べていくのは大変だと思いますが、私も今まで色々模索しながらチャレンジしてきました。そして、自分らしさを大切にしてコアなファンをコツコツ作っていくことを努力して来ました。以前、尊敬する方に、「教えるだけになってはダメだよ」と言われたのを、いつも心に留めています。
後進を育てることもとても大切なことですが、私にとっては演奏できることが一番大切なので、教えるということよりも、これからも演奏家である努力を続けていきたいと思います。

(2016年10月取材)

2021年7月20日渋谷クロスFM『音楽マンションプレゼンツ Life with Music』出演映像アーカイブ


 

音楽家インタビュー

音楽家インタビュー

facebook

  • twitter
PAGETOP
Copyright © 音楽マンション倶楽部 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.